ほとんどのコーヒーは、ウォッシュト、ナチュラル、ハニーの3つの精製処理(プロセス)に分類されます。
精製方法について理解することで、コーヒーを選ぶ際、自分好みのコーヒーに出会うためのヒントになります。
今回の記事では、代表的な3つの精製方法についてご紹介していきます。
出典:毎日Coffee日和
URL:https://ccooffee-blog1212.com/coffee-method/
上図の「種子」の部分が、コーヒー生豆として焙煎されてコーヒー豆になる部分です。
つまり収穫したコーヒーチェリーから種子を取り出して生豆を得るためには、果皮や果肉、パーチメントを除去し、乾燥させる工程が必要となります。
どのような工程を経て果実から生豆に加工されたかを示すのが精製方法で、実はコーヒーの味わいを左右する重要な要素の一つです。
1.ウォッシュト
ウォッシュトは果肉除去後、水洗発酵、もしくは機械でミューシレージ(粘液質)を取り除き、乾燥させる方式で、「品種」「土壌」「天候」「熟度」「発酵」「水洗」「乾燥」の過程全てが味わいの鍵を握っています。ウォッシュトで精製されたコーヒーは、クリーンな味わいとなり、酸味が引き立ちやすいです。
出典:PERFECT DAILY GRIND , Coffee Processing 101
URL:https://perfectdailygrind.com/2016/07/washed-natural-honey-coffee-processing-101/
①選別
コーヒーチェリーを水槽に入れ、重さの違いにより、まだ完熟していないコーヒーチェリーや不純物を取り除きます。
②パルピング
パルパーという機械を使って、コーヒーチェリーの外皮や果肉を取り除きます。
③水槽に漬ける
1日ほど水槽に漬け、発酵させることで外果皮(パーチメント)のミューシレージ(粘液質)を分解させます。定期的に撹拌を行い、均一に発酵させた後、別の水槽の水に漬けます。そこで、沈んだ豆のみを取り出します。
④ 乾燥
乾燥は外果皮(パーチメント)が着いた状態で1週間程度、天日乾燥させます。
⑤完成
出港時に脱穀を行い完成。
他のプロセスとは異なりウォッシュトは、その豆の真の個性を際立たせるため、多くのスペシャルティコーヒーの精製処理がウォッシュトによって行われています。
ウォッシュトはミューシレージ(粘質物)を洗い流すため、機械や水路などの設備だけでなく、大量の水を必要とする精製方法ですが、気候に影響を受けにくく、工程の中で機械や浮力を用いた選別などコントロールできる点が多いため、安定して高品質な精製が可能です。
一方、その大掛かりな設備や大量の水を使うという点で、水質汚染などの環境負荷が高いことが課題として挙げられています。
2.ナチュラル(ドライ・プロセス)
ナチュラルプロセスは、ドライ・プロセスとも呼ばれ、収穫したチェリーをそのまま自然乾燥させる方法です。
出典:PERFECT DAILY GRIND , Coffee Processing 101
URL:https://perfectdailygrind.com/2016/07/washed-natural-honey-coffee-processing-101/
①乾燥
収穫後、果肉除去を行わずにパティオと呼ばれるコンクリートの床やアフリカンベッドと呼ばれる棚などにコーヒーチェリーを広げ、10〜30日間、天日乾燥させます。乾燥が進んでくると、水分が抜けて赤いチェリーが段々と黒みがかってくることが特徴です。
②脱穀
乾燥したコーヒーチェリーを出港時に脱穀機にかけ、果肉とパーチメントを取り除き、後に生豆となる種の部分だけを取り出します。
③完成
ナチュラルプロセスで生産されたコーヒーは、甘さとコクがあり、香りも濃厚なコーヒーになりやすいです。さらに果実を付着させたまま乾燥させることによって果実由来の独特な風味が得られるメリットがあります。
ただし、乾燥過程が天候に左右されやすいほか、収穫段階で未熟・過熟豆、異物が混入しやすく、それらが風味に悪影響を及ぼしやすいというデメリットがあります。
このように未熟または過熟な果実などが混同していたことが原因で、伝統的なナチュラルプロセスは時が経つにつれ、風味が安定しない低品質な方法とみなされるようになりました。
しかし、このプロセスは最も風味豊かなコーヒーを生み出す可能性を秘めており、熟度の一貫性を保つことができれば、ウォッシュトに匹敵するクリーンさに加え、素晴らしい果実の風味を提供することができると言われています。
そのため高品質なナチュラルのコーヒーを得るためには、完熟したチェリーだけを手摘みで収穫したり、乾燥ではムラが起きないように定期的に撹拌したりと、農家に丁寧な仕事が求められます。
さらに、ナチュラルは、ウォッシュトのように大量の水を必要としないため最も環境に優しいプロセスなのです。
3.ハニー(パルプドナチュラル)
代表的なコーヒーの精製方法の1つであるパルプドナチュラルは、ほとんどウォッシュドと同様の工程ですが、ウォッシュドでは完全に取り除くコーヒーの粘液質を一部残して乾燥させます。
出典:PERFECT DAILY GRIND , Coffee Processing 101
URL:https://perfectdailygrind.com/2016/07/washed-natural-honey-coffee-processing-101/
この精製方法は、ミューシレージ(粘液質)を残して乾燥させることで、甘みがある味わいになるのが特徴的です。
またハニープロセスは、コスタリカで発展したパルプドナチュラルで、乾燥したパーチメント(外果皮)の色が蜂蜜に似ていたのが由来です。
近年では、ホワイト、イエロー、レッド、ブラックといったカテゴリーが数種類あり、このカテゴリーはコーヒーの甘みとコクに影響するミューシレージ(粘液質)をどの程度除去するかで決まります。90%ほどのミューシレージを除去するホワイトハニーから、ほとんど除去しないブラックハニーといったカテゴリーに分けられます。
一般的に、豆に残っているミューシレージが多いほど、より甘い味わいとなります。
先ほどのナチュラルのデメリットを解決するため実用化された方法であり、収穫されたチェリーを果肉除去機にかけると、果肉の硬い未熟豆はきれいに果肉が除去されずに機械内に残るため、完熟豆と未熟豆を容易に選別することができます。
これにより、熟度の一貫性が保たれ品質が安定します。
◾️参考データ
・PERFECT DAILY GRIND , Washed, Natural, Honey: Coffee Processing 101 , 最終閲覧日:2022.12.21
URL:https://perfectdailygrind.com/2016/07/washed-natural-honey-coffee-processing-101/